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・収集した情報を単に表示・提供するばかりではなく、自動運航システムにおいて加工・処理を施して操船者の高度な判断・意志決定をサポートできる形式・内容にして提供する。
特に本研究における自動運航システムでは、従来のARPA機能より進んだ支援を行う機能として、ARPAターゲットや電子海図データを基に、航行状況に即した座礁・衝突危険情報の提供や避航操船支援を行う機能を準備し、操船者のヒューマンエラー低減を図る。
・事前に設定された航路(ルート)に沿って自船を操船制御(トラッキング制御)する。潮流等の外乱に対するドリフト補正により、高精度のルートトラッキングを可能とし、操船者は変針ワンタッチ確認のみで、自船を(半)自動操船することができるように考慮する。
・自動運航システムの中心となる表示装置においてウィンドウ表示やアナログ表示を採用し、操船者がシステムの表示画面から情報を誤りなく迅速に読み取れるように配慮する。また、音声警報・音声情報のアナウンス機能を導入し、操船者が目視による見張りや他の業務を遂行しながら必要な情報や重要な警報をタイムリーに取得できるようにする。
自動運航システムの操作については、操作頻度の高い電子海図表示装置にタッチパネルを採用して、操作性の向上を図る。加えてトラックボールを併用し、操作用途・目的に応じて操船者が使い分けできるようにする。また、操船者が必要なオペレーションを容易に実行できるようにシステムの操作体系をシンブルに設計する。
自動運航システムの構成図を図5.3.1に示す。
自動運航システムは、操舵室操船場所に装備される操船指令ステーションより構成され、次の機器が組み込まれる。
?電子海図表示装置(21”タッチパネル付きカラーグラフィックディスプレイ)
電子海図表示、主要な航海情報の表示、操船制御確認、座礁/衝突予防避航操船支援、必要データの設定・入力、処理結果の表示等に使用する。
?データ処理装置−1(ワークステーションクラス、?と接続される。)
電子海図表示、操船制御、座礁/衡突予防避航操船等の処理に使用する。
?航海情報表示装置(21”トラックボール付きカラーグラフィックディスプレイ)
航海情報の監視に使用する。
?データ処理装置−2(パソコンクラス、?と接続される。)
各種航海計器・機器からのデータ収集や航海情報表示の処理に使用する。
?音声出力装置
音声による警報。情報出力に使用する。
自動運航システムの主な機能は、次の通りである。
?航海計画機能
電子海図上で変針点を設定・入力することにより航路の作成、修正が可能である。作成された航路は、航路保持の対象航路として設定される。
?航路保持機能(ルートトラッキング機能)
システムは、設定航路を保持するための設定針路を逐次計算する。計算された設定針路は、操船者に画面や音声により提示され、操船者のワンタッチ確認操作を経てオートパイロットに送信され、操舵制御が行われる。

 

 

 

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